皆さんはそろばんと聞くとどんなイメージがありますか?
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今どき、そろばん習って将来役立つの?
計算ができる以外に効果ってあるの?
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と思われる方も少なくないのではないでしょうか?
確かに、そろばんは、計算道具でみたら不要なものかもしれません…
ですが、そろばん体験者の証言・脳の研究結果や論文により、たくさんのメリットがあることがわかっています。
実際に私はそろばん講師を12年間勤めており、たくさんの生徒さんにそろばんを教えてきました。その上で、そろばんには計算以外のメリットがあると実感すること多数。
この記事の前半では、そろばんのメリット効果、それに対してデメリットもお伝えします。
後半では、そろばんに興味をもった方のお役に立てるよう、そろばんを習うタイミング、そろばん教室を選ぶ際の注意点をご紹介します。
ぜひ参考にしてくださいね!
そろばんって効果あるの?
(東大生のアンケート)
そろばん体験者証言で注目したいのが現役東大生・東大院生に聞いた2つのアンケート。
1つ目は、
東大生に聞いた「やっていて良かった習い事は?」アンケート
雑誌プレジデントFamily2012年12月号 (発売日2012年10月18日)記載
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「東大生が習っていて良かった習い事 順位」
1位:そろばん
2位:サッカー
3位:野球
4位:スイミング
5位:ピアノ
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習っていて良かった習い事ナンバー1がそろばんでした。
2つ目は、
現役東大生・東大院生に聞いた「受験に役立った習い事のランキング」
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1.進学塾
2.学習塾
3.そろばん
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役立ったと感じた人は、進学塾、学習塾に次いで3位にランクイン。
下記2つのサイトからそろばんは、通常塾のように、大学入試問題に直結する学習はしませんが、
入試やその後の学習に効果あるといえます。
参考サイト:東大新聞オンライン「東大生の65%が習っていた習い事とは?」より
現役東京大学生の感想 参考サイト:そろばん学習で培った能力を発揮して、様々な分野で活躍している「そろばんで凄い人」東京大学3年 今村大耀さん(日本珠算連盟2023年3月2日投稿)
脳の部分に影響 左脳・右脳(脳科学者の論文掲載) 珠算式暗算(右脳・イメージ力)
NHKやフジテレビ番組でも、そろばんは、脳機能がアップする習い事として紹介されています。
そろばんをおこなっている時の脳は、前頭前野が活発になっているという研究結果があります。
脳の司令塔と言われる前頭前野は、人間が人間らしく生きるために一番大切な役割を果たしている領域です。人の気持ちを察したり、やってはいけないことをセーブしたり、やる気も前頭前野の役割と言われています。
前頭前野は、「そろばんの問題を見た」情報を「指を動かす運動」に変換する操作により活発になります。指先は、「でている脳」と言われるほど神経が集中していて、指先の刺激が脳も刺激するのです。
そのためか、怒りっぽかったり、落ち着きがなかった子がそろばんをやって落ち着くようになったと保護者様から言われることがあります。
研究結果と照らし合わせて考えると、そろばんで前頭前野が活発になり、
感情のコントロールができるようになったのではないかと感じています。
その他に脳の左右脳に対して、そろばんの効果を紹介します。
脳は、左脳と右脳の機能がわかれていてその能力には違いがあります。
左脳は、
・言語力
・論理的思考力
・分析力
右脳は、
・イメージ力
・記憶力
・想像力
・ひらめき力
・空間認知力
をつかさどる脳と言われています。
通常の学校での学習は、考えて問題を解く論理的思考力の左脳を中心に使っているといえます。それにくらべて珠算式暗算は、頭の中でそろばんの玉をイメージさせて計算するため、右脳活性化にとても有効だと実証されています。
そろばんは、計算力が身につくだけでなく、脳に良い効果があります。
右脳と左脳どちらもバランスよく活性化することで、脳の機能を広範囲で使うことができるようになる。そんな魅力的な習い事がそろばんなのです。
そろばんで身につく効果5つのメリット
①集中する力が身につく
② 数感覚がつく(数字に強くなる)
③記憶の向上(イメージ力)
④忍耐力がつく(グリット力)
⓹注意深く見る力、動体視力の向上
では早速1つずつみていきましょう。
①集中する力が身につく
そろばん学習は、限られた時間内で集中する力が身につきます。
また、級が上がるほど桁数
が増えます。
日本珠算連盟そろばん検定1級に億の数字のたしひき計算問題があります。
1問の字数が100字
平均60秒以内に計算しなければ制限時間に間に合わなくなる問題です。
この時、運珠(そろばん珠を弾く)回数は
1問なんと約130~170回!!
そのうちの1回でも間違えば、不正解・・・
そのため、上級にチャレンジするほど集中力が必要になります。
このことからそろばん学習は、
時間制限内にやる+指先を正確に動かす
のダブルで意識集中するため、より集中する力が身につきます。
集中力は、限られた時間内で仕事を終わらせなければならない時や
高校・大学受験、各種試験で合格点をとるために必要な力です。
②数に対する抵抗がなくなる
学研教育総合研究所の調べによると、「算数」は、好きな教科、嫌いな教科で10年連続どちらも1位になっています。
結果より算数は、好きになりやすいし、嫌いになりやすい教科といえます。
そのため、そろばんで数字や計算に自信がつくきっかけがあれば、
算数が好きになりやすいといえるのではないでしょうか。
そろばんで数に対する抵抗をなくすことができたら、算数好きになりやすいと言えます。
③記憶力の向上(イメージ力)
右脳はイメージ脳といわれ映像での記憶、左脳は言語脳といわれ言葉での記憶になります。
それではなぜ、右脳の記憶は左脳とくらべて数千倍と言われているのか、
例えば、
「電話」「リンゴ」「ボールペン」「時計」「電池」
というバラバラの言葉を左脳記憶で覚えると、すぐに覚えることもできず、覚えても忘れやすいですよね。
言葉の数が、増えるともっと覚えられないし、すぐに忘れてしまいます。
それに比べてストーリーをイメージして映像で覚える右脳記憶にしたらどうでしょうか?
「電話」にでたら、「リンゴ」を買ってきてと言われて、「ボールペン」でリンゴを書いた。そのあと、「時計」が壊れていたので「電池」を交換した。
ストーリーをイメージした右脳記憶は、言葉で覚えるよりたくさんのことを記憶することができます。
そろばんの珠算式暗算で右脳を活性化することにより、記憶力の向上につながるのです。
そろばんの有段者の中には、教科書を暗記するページが頭に入ってくるとか、年号もすぐに覚えられるとか英語の単語がすぐに覚えられるという生徒がいます。
珠算式暗算の上達を通じて右脳活性化し記憶力が向上したことを積極的に活用することで、
将来たくさんのところで役立つ力になりますね。
④忍耐力がつく(グリット力)
そろばん上達には、反復練習が必要です。そのため何度も繰り返すことに飽きてしまったり、
又、そろばんは検定試験があり、上級ほどレベルが上がり壁にぶちあたることもあります。
そんな困難を乗り越え、検定に合格したり、できなかったことができるようになったり、
反復練習が楽しくなったりすることにより、達成した喜びが味わえます。
目標を決めてがんばって、失敗や気持ちが落ちる経験をして、また目標にむけて諦めずにがんばる体験が「忍耐力」に繋がるのです。
忍耐力は、困難な壁があっても乗り越える力(グリット力)。
そろばん教室に通うメリットは、困難を乗り越えやり抜く力が身につくことで、これから社会生きていく上で必要なグリット力が磨かれます。
⑤注意深く見る力、動体視力
暗算学習のフラッシュ暗算は、画面にでてきた数字をたしていく計算で、ゲーム感覚で暗算力がつきます。数字がでてもすぐ消えてしまうので、集中していないと今なんの数字が出たかわからず、答えを出すことができなくなります。
目の前の数字を追い続けるので動体視力が鍛えられる効果があります。スポーツでは、動体視力が重要と言われますが、日常生活でも注意深く見る力が役立ちますよね。
そろばん教室によっては、フラッシュ暗算をとりいれていない教室もありますので、入塾の時には教室にご確認ください。
そろばんの弊害4つのデメリット
そろばんは、メリットの多い習い事です。
ここまでメリットを見て、子どもにそろばんを習わせたいと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこでメリットだけではなくデメリットもお伝えすることで、
そろばんをより知っていただきたいと思いました。
また、これからそろばんを習う上での心構えや子どもにあった教室を選ぶ時のお役に立てる内容をお伝えします。
①継続期間がある程度必要
その上、右脳活性化につながる珠算式暗算ができるようになるには、そろばんの練習量が必要です。
そのため、短い期間でやめてしまうとあまり効果がありません。
そろばんは、練習量に比例して上達スピードが速くなるので、
習っている期間が長いだけでなく、日々短い時間でもコツコツそろばんの練習をしているかも大事。
習った時期が遅くても、家でコツコツ練習する子が、先に習っていた子より級が上になったという実例もたくさんあります。
そろばんは努力した分、報われる習い事です。
そろばんは、継続期間がある程度必要+コツコツ練習量を積み重ねることで効果を発揮します。
特に珠算式暗算は、そろばんが上達し無意識に指が動かせるようになってから、学習をすると頭の中に玉をイメージし、使いこなすことができます。
もちろん、短期間でも効果がまったくないわけではありませんが、ある程度長い期間続けるとメリット効果が高まります。
スポーツの習い事もそうですが、ある程度時間をかけて練習を繰り返すことが大事ですよね。
②ひっ算が面倒に感じる
途中式を書かなくても計算ができてしまうのです。
ただ、学校の授業やテストでは、答えが合っていても、
筆算を書かないと減点されることがあります。
そこが、珠算式暗算が出来る子が面倒に感じてしまうところです。
学校で筆算をなぜ書くのかは、途中の計算の過程を書くことによって計算を理解しているかを見るためです。
そろばんでも、途中過程の数字をそろばんに置くので、その時に計算過程を説明し筆算とそろばんの計算をあわせて教えることができたら、
算数の学習にもつながり、筆算のやる意味、数の理解も深まります。
あわせて、教える必要があるのが、計算を工夫してだす考え方です。
珠算式暗算は、例えば、「42×99=」のような問題もそのまま考えずに計算してしまいますが、
考えるとこの答えは、「42×100‐42=」をすると答えがでる。
つまり、工夫すれば簡単に解ける問題です。
工夫して計算することや計算のきまり(例えば、×÷は、+−より先に計算する)などそろばん計算と一緒に教えることで
算数、数学的思考力につながり、より数を使い分析する力がつきます。
そろばん学習プラスアルファーで、筆算が面倒に感じなくなり、思考力もあわせてつくことができ将来役立つ力になります。
③やめたくなる時期、級の壁がある
そこを乗り越えるためには、家族や先生の励ましが必要です。
その励ましで困難を乗り越え、検定に合格したり、できたかったことができるようになったり、反復練習が楽しくなったりすることにより、達成した喜びが味わえます。
先ほどお伝えしたようにそれが「忍耐力」と乗り越えた自信に繋がるのです。
④教室によって指導内容・検定の難易度が違う
珠算式暗算を指導していないそろばんのみの教室
大会入賞を目的とした教室
算数に結びつくような数的思考力をつけながらそろばん指導する教室
など、教室によってどこを目的にして学習しているかで指導法がわかれます。
また、検定試験もそろばん連盟はいくつかにわかれており、それぞれに難易度基準がかわります。各教室でどの連盟の検定を目指しているかで難易度も違います。
主に、全国の珠算団体は3つ
①日本珠算連盟(以下、日珠連)
②全国珠算教育連盟(以下、全珠連)
③全国珠算学校連盟(以下、学校連盟)
日珠連は、日本商工会議所珠算能力検定試験(以下、日商検定)の実施に関し、業務委託を受けていて全国の商工会議所と深く関わりのある団体です。
これに対して、全珠連、学校連盟は日商検定とは別に検定を実施している団体になります。
日商検定は他の検定と比べて難易度が高く計算する量も多い。
難易度の目安は、日商検定1級が全珠連段位検定2段の実力で、2レベル日商検定が上といわれています。
検定試験の評価は、圧倒的に日商検定試験が高い。それは簿記試験で有名な日本商工会議所主催で歴史ある検定だからです。
進学、就職の内申書、履歴書に記載できる珠算検定資格として最も評価が高い検定試験になります。
そのため教室によって、どこの団体の検定試験受験をさせているのか、どんな指導をしているのかで教室にばらつきがあることがデメリットになります。
そろばんを習うタイミングは
ここからは、そろばんに興味をもった方の疑問になりそうなそろばんを習うタイミングについてお伝えさせていただきます。
小学入学前の年長がベスト
最近はそろばんを習う子の年齢が低年齢化しています。
私のそろばん教室では3歳からスタートした子がいます。
そんな小さいうちから、そろばんができるの?と思われた方も多いのではないでしょうか?
そろばんは言葉で教えるのではなく、子どもに珠を操作させて、数を視覚でみせられるため、小さい子でも簡単な計算ができます。
教室によっては、年齢制限や条件がある教室もありますが、小さい子にもそろばん学習は可能です。
小さいうちから数字に親しむことで、数の土台が身につきます。幼児期はプリント学習よりも、自分で触り操作した体験が大事です。
高学年でもOK
実際、私の教室でも5年生から入塾した生徒もいます。
高学年の子たちは、幼児期で入塾した子と比べると、算数で筆算を習っているためイメージ力を使っての暗算学習に、苦労することがあります。
その分、他の子より遅くに入塾したという意識が高く、集中してそろばんの問題を多くこなしたり、早く級を上げたいという意識が高い子たちばかりです。
算数が苦手な高学年の子が塾ではレベルが高いので、そろばんで数の基礎を復習したいと入塾する子もいます。
やりたいと思った時期がはじめ時なので、高学年でも遅すぎることはありません。
大人でもOK
・最近怒りっぽく、自分の感情をコントロールできない
・用事があって2階に行ったが、なぜ行ったか思い出せない
・久しぶりに会った知人の名前が出てこない
その原因は、脳の司令塔前頭前野の衰えかもしれません。
先ほどお伝えしたように、
そろばんをおこなっている時の脳は、前頭前野が活発になっているという研究結果があります。
最近きれやすい高齢の方のテレビ特集をやっていました。
そこでは脳科学者の方が、脳の前頭前野の衰えが影響しているかもしれませんと話していました。
そろばんで脳を刺激し、教室で他の受講生の方とコミュニケーションをとりながらそろばんをすることで、感情のコントロールができるようになったり、生活の質もあがるのではないでしょうか。
また、私の教室では認知症予防に効果的な「そろばん式脳トレーニング」という大人向けのメニューを使って脳トレそろばん授業を行っています。
そろばんは、認知症予防にも効果があるのです。
そろばん教室を選ぶ注意点
ここまで、そろばんのことを知り、教室で習わせるか検討された方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな方のために、教室を選ぶ注意点を最後にお伝えさせていただきます。
教室入塾条件に子どもがあてはまるか
私の教室では、3歳から受け入れておりますが、教室によって低年齢は受け入れできない教室もあります。
他にも、数字を1~9まで必ず書けること。トイレには自分で行けること。
などと入塾条件を設けている教室があります。
教室の入塾条件にあてはまるか確認しましょう。
授業内容が子どもを通わせる目的にあっているか
教室の目的によって指導法も異なります。
珠算式暗算を指導しないそろばん上達のみを目的にした教室
大会入賞を目的にした教室
検定試験合格を目的にした教室
私の教室のように、算数に結びつくような数的思考力をつけながら日常役立つ暗算力も同時に身につける目的のそろばん教室など、
教室によってどこを目的にして学習しているかで指導法が異なります。
また、各そろばん教室で目指す検定試験もどこの連盟に所属しているかで難易度がかわってきます。
授業内容が子どもを通わせる目的にあっているのか、
また検定もどこの連盟主催の試験に合格してもらいたいかの目的を明確にして、
選んだ教室がその目的にあっているのか確認することが大事です。
そろばんを習う目的が暗算の上達であれば、教室はどの段階で暗算を教えてくれるのか?フラッシュ暗算など教える内容が充実しているか?をチェックしましょう。
先生と子どもの相性はよいか
大抵そろばん教室では、無料体験をしている教室が多いので、無料体験に申込み、先生をよく観察することが必要です。
子どもの中には、大声で話す先生が苦手だったり、逆に大きな声で指導してもらった方がやる気になったりいろいろなタイプの子どもがいます。また、先生もいろいろなタイプの先生がいます。
実際に体験して先生がどんな方か、またその先生が子どもとあっているのかを見比べることが大事です。
無理なく通塾できる場所に教室があるか
無理なく通塾できる場所に教室があるのかが大事になります。
そろばんだけでなく、ほとんどの習い事は継続することで効果が得られます。
そのためには、自宅から通える場所にあるのかをならずチェックしましょう。どんなに教室が良いと思っても家から遠いところにあれば、送迎や交通機関の乗り継ぎに負担がでてきてしまいます。
最近は私の教室も実施しておりますが、オンラインで自宅にいながらそろばん授業が受講できるオンライン教室も増えています。
リアル教室とオンライン教室、どちらが無理なく子どもや親が継続できるか、両方を検討してみるのもおすすめです。
まとめ
今回ご紹介したメリット5つを見ていただくとわかるようにどれも生きていく上で活用できるメリットがあります。
【ご紹介した5つのメリット】
①集中する力が身につく
② 数感覚がつく(数字に強くなる)
③記憶の向上(イメージ力)
④忍耐力がつく(グリット力)
⓹注意深く見る力、動体視力の向上
その他、メリットだけでなくデメリットをお伝えしました。
【ご紹介した4つのデメリット】
①継続期間がある程度必要
②ひっ算が面倒に感じる
③やめたくなる時期、級の壁がある
④教室によって指導内容・検定の難易度が違う
そろばんにご興味をもった方が、そろばんを習う上で参考になりましたら幸いです。